うつ病の症状について
美唄市医師会・石本 隆広

皆さんは「うつ病の症状」と聞くとどのようなものを思い浮かべますか?
普段、診療のときに尋ねてみると「気分が落ち込む」「気分が沈む」をいった気分に関する答えが多いようです。 実はうつ病は、気分面の不調ばかりでなく、思考面・身体面でもさまざまな症状を引き起こします。
初診で患者さんを診察していると、うつ病で調子が悪いのにもかかわらず、最初に相談した医療機関が精神科で なかったケースをよく見かけます。この原因の一つは精神科には通いづらいというものがあります。 その一方で、うつ病には身体症状が最初に目立ってくるケースも多いことがその原因です。
つぎに、うつ病でよく見られる症状を挙げてみました。
【自分で感じる症状】
憂うつ、気分が沈む、気分が重い、悲しい、イライラする、元気がない、集中力がない、好きなこともやりたくない、 細かいことが気になる、物事を悪い方へ考える、決断が下せない、悪いことをしたように感じて自分を責める、死にたくなる、 眠れない。
【周囲から見てわかる症状】
表情が暗い、涙もろい、反応が遅い、落ち着きがない、飲酒量が増える
【身体に出る症状】
食欲がない、身体がだるい、疲れやすい、性欲がない、頭痛、どうき、胃の不快感、めまい、喉が渇く
※高橋祥友著「中高年自殺−その実態と予防のために」(ちくま新書)より(一部改編)。
これらの症状はうつ病以外にも見られることの多い症状です。身体的に異常がない場合には、うつ病も疑ってみてよいと思います。

(執筆者紹介/倫生会美唄病院院長)