血管の病気から健脚を守る
美唄市医師会・安田 慶秀

「ひとは血管から老化する」といわれます。21世紀に入り、わが国はかつてない高齢社会に突入し、血管の病気で 悩んでいる人が美唄でも増えています。
動脈硬化は年をとると誰にでも起こりますが、血液のコレステロールや中性脂肪が高い人は早く進行します。たばこ、 糖尿病、高血圧、肥満、ストレス、運動不足などの生活習慣病は動脈硬化を悪化させます。
動脈硬化になった血管は硬くなって狭くなり、また血管の中に血栓(血のかたまり)ができて詰まりやすくなります。
このように、動脈硬化によりあしの血管が狭くなり、ついには詰まってしまう病気が「閉塞性動脈硬化症」という血管の 病気です。
閉塞性動脈硬化症になると、ふくらはぎや太ももが痛くなったり引きつったりして長い距離を歩くことができなくなり、 重症になるとあしの筋肉が死んで壊疽となり切断が必要になることもあります。「王将」「人生劇場」など男の世界を風靡 した歌手の村田英雄さんはこの病気により右下肢を切断し、さらに4年後には左下肢も切断しました。これに先立ち心臓 の血管が詰まって冠動脈バイパス手術も受けており、糖尿病も合併していました。
村田さんの例のように閉塞性動脈硬化症の患者さんは心臓や脳血管の病気を合併することが多く、あしの血管病を持っていない 人に比べて寿命も短いことがわかっています。
血管病の治療でもっとも大切なことは、生活習慣を改善して血管の病気にならないよう予防することであり、また血管病を早く みつけて軽いうちに治療することです。労災病院では血管病専門の「血管外来」と「血管検査室」があり、患者さんにやさしい 診断と治療を行うことを目指しています。
「あし」のことでお悩みの方はお気軽にご相談下さい。
(執筆者紹介/北海道中央労災病院せき損センター病院長)