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肥満とエンゲル係数 美唄市医師会・小林 朋子 |
久坂部羊の小説「無痛」に登場する先天性無痛症の男は、生まれつき体の痛みを全く感じません。 痛みを感じずに育った彼は、他人がけがをしたときの痛みも全く想像できないため、麻酔なしで生きた人間の生体解剖を してしまいます。恐ろしいですね。 さて、冬になると増えるけがに「やけど」がありますが、先天性無痛症でなくとも、熱さ・痛さの認識や実感をできない ためにやけどをしてしまう場合があります。小さなこどもと、糖尿病などで神経に障がいがある方です。 2歳くらいまでの子どもには「これを触ると熱くてやけどをしてしまう」という知恵がまだ備わっていないので、興味 心でいろんなものを触ってしまいます。炊飯器の蒸気やストーブ、熱い飲み物などでやけどをするケースが多くがみられます。 また、糖尿病などで足の神経の機能が低下すると、カイロや湯たんぽに長時間触れていても熱さや痛みを感じず、気付いたころには ひどい低温やけどに至っている場合があります。 子どもには、まわりの大人が熱いものを近づけないよう配慮すること、また足などに知覚異常のある方は、暖房グッズの使用に 十分注意することで、いずれもやけどを未然に防ぐことができるので気を付けていただきたいと思います。 (執筆者紹介/北海道中央労災病院せき損センター形成外科部長) ![]() |