肘内障のお話
美唄市医師会・吉田 澄子

子育て中のお父さん、お母さんに知っておいてもらいたいことです。2〜4歳くらいのお子さんの中には、 急に手を引っ張られたり、腕を体の下にして転がったりしたときに、突然肘を痛がって動かさなくなるなって しまうことがあります。これが肘内障です。
この時期はまだ骨が十分成長していないため、肘を伸ばした状態で手を急に引っ張ると、肘の関節を構成する 「とう骨小頭」というところが、これを支える輪状靱帯というバンドをすり抜け亜脱臼してしまうことがあるの です。まれに自然に治ることもあるのですが、たいがいは整復操作が必要で、病院を受診して頂いた方がよいと 思います。整復操作は2〜3秒で終わります。そのとき、お父さん、お母さんにしていただくのは、いすに座り お子さんを膝の上でしっかり抱っこしていてもらうことだけです。整復されれば問題はありません。 すぐ手を動かせるようになります。その後何回か繰り返すことがありますが、小学生になる頃にはもう起こること はなくなります。転びそうになったとき手を引っ張り上げる、服を引っ張るようにして脱がせる、遊んでいて ふざけて手を引っ張るなどは肘内障が起きやすい行動です。
お父さん、お母さん十分気を付けてあげてくださいね。
(執筆者紹介/市立美唄病院整形外科医長)