腰椎間板ヘルニア
美唄市医師会・飯本 誠治

急激な腰痛によって動けなくなった経験のある人は多いのではないでしょうか? 腰痛の原因といってもさまざまなものがあります。一般的には「ぎっくり腰」「ぎっくら」などと言われている ような筋・筋膜性の腰痛、腰部脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアなどの腰椎に原因があるもの、腎結石や腫瘍など 内科的な原因によるものなどがあります。中でも腰椎間板ヘルニアは耳にする機会が多いのではないでしょうか? 椎間板とは腰椎の骨と骨の間にあるクッションのような役割をしているもので、加齢変化、外傷、労働、スポーツ などで椎間板内の髄核が広報に飛び出した病態が椎間板ヘルニアです。 症状は腰痛に加え、下肢に痛みや痺れを生じ、悪化してくると運動まひを起こします。レントゲンだけでは診断 できないことも多くCTやMRIで圧迫の部位や程度を確かめることが必要です。 治療は安静、コルセットの装着、抗炎症薬の服用、リハビリ治療などを行い、症状が軽快しない場合にはブロック 療法なども行います。ヘルニアは現在自然消退するものもあることが分かり手術せずに完治することもありますが 、保存的治療の効果がなく痛みが続くものや運動まひが出てきた場合には手術が必要になります。手術はヘルニアの 程度にもよりますが顕微鏡や内視鏡を用いて約2pの小さな傷でヘルニアを摘出します。 手術翌日には歩行も可能で1週間程度で退院できます。「腰痛がなかなか治らない」「下肢に痛み・痺れが出てきた」 こういう症状の場合は一度病院で精密検査を受けましょう。
(執筆者紹介/美唄労災病院整形外科副部長)