美唄市医師会

褥瘡（床ずれ）
美唄市医師会・尾﨑　進

高齢化社会となり、脳血管障害後遺症（脳卒中）などに伴う長期間寝たきり老人が多くなってきています。また、がん終末期患者さんのように身体機能が低下している方も増えています。患者さんは寝返りが自分でできないようになりますと、臀部などの皮膚にかいよう（褥瘡）が発生するようになります。最近、厚生労働省が打ち出した在宅医療推進の影響で、老人が病院から退院して家庭に戻り、家庭における褥瘡も増えています。このように社会問題にもなっている褥瘡ですが、医療者側の取り組みは十分ではありませんでした。特に医師の関心は低く、主に看護サイドによってケアがなされていました。２００２年１０月より褥瘡対策を病院としてとらなければ診療報酬を減額する制度が実施され、全国の医療機関に衝撃を与えました。予防対策としては、褥瘡発生の危険性が高い人を対象に、高機能エアーベッドによる体の圧迫の除圧、皮膚の摩擦やずれの防止、スキンケア（清拭、入浴、失禁対策）、栄養管理などを行いますが、多くの医療者のマンパワーが必要となります。治療に関しては、褥瘡治療薬剤や皮膚保護剤がいろいろ販売されていますが、いずれの方法でも皮下組織に及んだ褥瘡の治療には数ヶ月かかるのが普通で、頻回の体位変換、スキンケア、褥瘡の処置などに多くの労力も必要となるので、現在では医師・看護師・薬剤師・栄養士によるチームを組むなど褥瘡対策を積極的に取り組んでいます。
（執筆者紹介／市立美唄病院副院長）