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家庭での傷の手当ては? 美唄市医師会・尾ア 進 |
ひと昔前、どこの家庭でも赤チン(マーキュロクロム液)が常備薬の1つとして活躍してきました。
しかし、1990年代ごろアメリカのFDA(米国食品医療品局、日本の厚生労働省のようなもの)によって
水銀中毒の危険性が指摘されて以来、すっかり世間から姿を消してしまいました。
今、家庭では消毒薬としてマキロンが赤チンに取って代わっています。家庭では赤チンからマキロンの時代まで、
傷は消毒するのが常識でしたし、家庭医学書にもそのように記述されているものが多いようです。
最近、病院では消毒液を傷に対して直接使用することはあまりありません。
消毒液が傷の治りを悪くする恐れがあるからです。ではどうしているのでしょうか?
擦り傷程度なら、痛みの強いときは局所麻酔のうえ、まず水道水で洗浄して汚れを落とし、傷が早く治るように
湿潤環境を保つための保護材を使用することが多いです。
家庭ではどうすればよいのでしょうか?浅い傷なら水道水で洗ってラップ(皮膚保護材の代用)を当てておく
応急処置で十分です。テレビの情報番組でも生傷の絶えないプロのサッカー選手が傷の処置にラップを使って、
傷の治りが良好なことが紹介されていました。傷には直接ガーゼを使用しないでください。
ガーゼを交換するときに飛び上がるほどの痛みを伴いますし、傷の治りも悪いです。心配なら外来受診してください。
深い傷や切り傷の場合は、家庭での処置は難しいのですぐに病院へ来てください。
(執筆者紹介/市立美唄病院副院長) |