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軽度認知障害(MCI)について 美唄市医師会・石本 隆広 |
「認知」とは、精神医学用語で、理解、判断、記憶、論理などの知的能力に関する脳機能全般を指します。
したがって、「認知障害」は脳の知的能力の障がいと言い換えることができます。
近年、一見健常な高齢者において、軽度の認知障害がみられ、経過すると認知症に移行する状態があること
が注目されています。医学的に、この状態は軽度認知障害(Mid Cognitive Impairment ; MCI)と呼ばれています。
診断の基準は、@本人や周囲からの陳述によって明きからになる記憶障害 A年齢や教育レベルに不相応な記憶力の低下
B維持されている全体的な認知機能が以前よりも低下している C日常生活能力には支障をきたしていない
D認知症ではないというものです。
ここで、強調したいことは、MCIは一般的な高齢者の物忘れとは異なり、アルツハイマー型認知症や血管性認知症
が発症する前段階のことが多いということです。
現実的には、正常の老化とMCIの違いを診断することは容易ではありませんが、脳画像検査の進歩により以前より
は診断しやすくなっています。
また、認知症の薬物療法も以前より進歩しており、アルツハイマー型認知症の初期段階では、専門薬の服用により
、認知症の進行を遅らせることが可能になっています。そして、血管性認知症の初期段階においても、脳循環代謝
改善薬の有効性が報告されています。
MCIを疑ったら、認知症の進行を予防することが可能なケースであることが多いので、早めに医療機関での検査
・治療をお勧めします。
(執筆者紹介/美唄希望ヶ丘病院院長) |