家庭血圧測定のすすめ

美唄市医師会・井門 明

高血圧のコントロール状態が良好かどうかを知るためには、普段の血圧を把握することが大切です。 医療機関では、2週間に1回とか1ヶ月に1回、場合によっては3ヶ月に1回の診断時に血圧を測るだけですから 、高血圧のコントロール状態を判断するには情報が足りません。 また、診察室で測ると血圧が上がってしまう「白衣現象」や、これとは逆に診察室での血圧は正常でも、家庭で 測ると高血圧になる「仮面高血圧」の人がいることが注目されており、降圧薬治療による過剰な降圧、あるいは 不十分な降圧を評価するのに家庭血圧の測定が役立ちます。 家庭用血圧計にはいろいろなタイプがありますが、正確に測れる血圧計を使用することが大切です。 手首や指で測る血圧計は使用が容易ですが、現状では誤差が大きく望ましくありません。 日本高血圧学会の指針において、測定誤差の小さい上腕にカフを巻いて測るタイプが推奨されています。 また、年に1度程度、医療機関で家庭血圧計の精度を確認してもらうことも、推奨されています。 測るタイミングは、朝は起床後1時間以内、排尿を済ませて、朝食前、薬を飲む前に測ります。 夜は寝る前に測ります。ただし、晩酌する人はお酒を飲む前、入浴後すぐに寝る人は入浴前に測るといいでしょう。 測るときには、@楽な姿勢で数分間安静にしてから測ること Aカフは上腕の素肌に直接巻くこと(厚いセーター などを腕まくりして測ると、血管が圧迫されて正確に測れません) Bカフは少しきつめ巻くこと(カフと腕の間に指が1〜2本入るくらい)などに留意してください。 測定した血圧値は、思うような数値でなくてもすべて記録し、定期的に主治医にみせるとよいでしょう。
(執筆者紹介/井門内科医院副院長)