心臓突然死について

美唄市医師会・佐藤 功

それまで健康だった人が、ある日突然、命を落とす。そのような突然死の恐怖は人ごとではありません。 突然死は、予期しない急死のことで、発症から24時間以内の死亡と定義されています。原因は心筋梗塞を はじめ、心筋症、弁膜症(特に大動脈弁狭窄症)、心不全などの心臓病によるものが60%以上を占めます。 こうした心臓病に起因する心臓突然死は発症から1時間以内に死亡する場合が多く、日本では年間3〜4万人 にのぼると言われており、今後、高齢者の人口増加によりさらに増えると予想されています。 余地が難しいと言われる心臓突然死ですが、心臓の異常を早期に発見し適切な治療を受けることで予防することが 可能となっています。心臓突然死の80%は心室細動などの致死的不整脈が原因とされています。 こうした危険な不整脈を起こした人、起こす可能性のある人は適切な治療を受けることが大切です。 抗不整脈薬による治療は広く行われている方法です。また、不整脈の原因となっている障害された心筋部位に対し カテーテルを用いて電気的に焼灼する方法や自動的に電気ショックを与える植え込み型除細動器(ICD)による 治療なども突然死の予防に効果を上げています。 突然倒れた人に遭遇した時は、敏速な救命処置が望まれます。「救命のための鎖」という啓蒙運動が展開されており、 私たちの身近な場所にも自動体外式除細動器(AED)が設置されるようになってきました。 また、心臓突然死は午前中の発症が多いことが知られています。その時間帯は、自律神経系が変調を来し血管の中で 血栓ができやすいためと考えられています。心臓病の人は、過度な運動、精神的ストレスや睡眠不足などにより危険 な不整脈が生じることもあります。かかりつけの医師とも相談した上で生活習慣を改善していく努力が必要です。
(執筆者紹介/労災病院循環器科部長)