あんなに元気だったのに
−がん検診のすすめ−


美唄市医師会・齋藤 克憲

「あんなに元気だったのに、ちょっとした入院と思ったら、あっというまに亡くなってしまったんださ」「がんだったつう ことらしいべ」「いくらなんでも早すぎるべ。医療ミスかなんかあったんではないべか」。毎日病院にいますとこういう話 意外と多いものです。がんは日本人の死因の1位ですが、最近は新しい治療法がいろいろ出てきて、今や「がんといわれた らもうおしまい」というわけでもありません。 でもこれには条件があります。「早いうち、ちいさいうちに見つかれば」です。しかしこれが意外に難しい。よく「がんは ものすごく痛い」と思っている方がいますがテレビの見過ぎですかね。がんはまったく痛みのない病気です。 がんが大きくなってまわりの神経に食い込んできて始めて痛くなる、つまり、痛くなったときはある程度進んでいるという ことなのです。日本人に多いのは、肺がん、胃がん、大腸がんなど、どれも痛みが出にくいものばかり。 つまり、「あんなに元気だったのに」というのにはウラがあるのです。 元気だったので、「病院になんかかかったことがない」それで「痛みが出て始めて病院に行った」そして「かなり進んでいて 、手術もできず薬も効かなかった」です。 私は美唄に来て1年ですが、大学病院と比べて「なんで今まで来なかったの」という人が結構います。 「自分が気が付かないうちに見つける」。とにかくこれが一番大事です。肺がんは胸のX線が必要ですし、胃がん・大腸がん はカメラをしなければ早くには見つけられません。 50歳を過ぎたら、年1回は検診が必要です。市の検診でもいいし、労災病院ではカメラはいつでもできます。 「あとまわし」だけは「手遅れ」の元になりかねません。
(執筆者紹介/労災病院外科部長)