歩行に伴う下肢のしびれ・痛み

美唄市医師会・森平 泰

1年ほど前にテレビで人気のみのもんたさんが、この病気の治療を受けたというニュースがありました。 腰部脊柱管狭窄症は腰椎疾患の中で椎間板ヘルニアと同じくらい多くみられる病気で特に50歳以降の中高年の患者さんが 多いです。腰椎は、5個の骨が連なって体を支えつつ運動を行い、さらに中央に脊柱管という神経の通り路をもっています。 脊柱管は、前に椎間板、後は椎間関節で囲まれていますが、椎間板や椎間関節、手足の関節と同様に年齢とともに変化し、 腫れて膨らみを増します。その程度がひどくなり中の神経を圧迫し、腰痛、下痢痛を起こすのが腰部脊柱管狭窄症です。 特徴的な症状は、安静時はなんともないが、歩行によって段々と足の痛みとしびれが出てきて、座って少し休むか前かがみ にならないと長距離を歩けないという症状で、これを間欠性跛行といいます。また重傷の方では排尿排便の感覚が鈍くなり 、失禁してしまう方もいます。 治療はまず内服液や注射による神経ブロックが行われます。外来で行うリハビリが有効な方もいます。しかし、症状が重く 、歩ける距離が極端に短い場合や痛みが強く日常生活に支障がある場合は手術治療も検討します。 神経を圧迫している椎間板や椎間関節の一部を削ることで、症状が劇的に良くなることが期待できます。 私たちの病院では通常、手術後翌日から簡単なベルトを付けて歩くことができ、10〜14日で退院可能となり日常生活や スポーツに復帰してもらっています。 また、外出するのが辛くなるような下肢症状がある方は、整形外科で脊椎の専門医を受診することをお勧めします。
(執筆者紹介/労災病院整形外科副部長)