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消化管内視鏡の進歩 美唄市医師会・濱本 浩英 |
消化器診療の分野で胃カメラ・大腸カメラといった内視鏡の果たす役割はますます大きくなっています。
以前の内視鏡はグラスファイバーを用いて画面を生成していたため、良好な画質を得ることができませんでしたが
、近年はCCDという小型の電子カメラを内臓しているため、はるかに精細な画像を得ることができます。
診断能力が飛躍的に向上した結果、今日では内視鏡が消化管診断の中心的な役割を担っており、以前は繁用されていた
胃バリウム検査も健康診断や精密検査の一部として利用されるのみとなりました。
また、技術の進歩に伴い内視鏡の細径化が進み検査時の苦痛も減り、ついには鼻から挿入できる胃カメラが発売されました。
鼻から物を入れるのは口から入れるよりもつらそうに感じられますが、実際に検査を受けた患者さんの多くは口から飲む
カメラより楽だったとおっしゃっています。
内視鏡は診断のみならず、出血性疾患の止血処理やポリープの切除といった治療分野での応用も進んでいます。
かつて、胃ガンが見つかれば開腹手術という時代もありましたが、最近では早期ガンの内粘膜表面にとどまっているものなら
、少し大きくても内視鏡で剥ぎ取ることができるようになりました。
内視鏡検査が楽に行われるようになり、がんを早期のうちに見つかられるならば、がんで命を奪われる人の数も減り、治療の
負担も軽くなることでしょう。
(執筆者紹介/花田病院内科医師) |