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メタボリックシンドロームについて 美唄市医師会・熊本 秀樹 |
冠動脈疾患や脳血管性疾患などの危険因子として高血圧、高脂血症、糖尿病などが重要ですが、これらの危険因子が軽度な状態
で一個人に複数集まってしまう病態を「メタボリックシンドローム」といい、その原因として内臓脂肪(皮下脂肪ではなく腹腔内脂肪)
の蓄積が指摘されています。過食、運動不足などの生活習慣により内臓脂肪が増えますが、身体の10〜30%もの容積をしめる
脂肪組織は、単にエネルギーを貯めているのではなく、実は多種多様な内分泌因子を産生、分泌している巨大な内分泌臓器で、
内分泌因子の働きにより、血糖を下げるホルモンであるインスリンの作用が低下し、インスリンの血中濃度が増加することが
最も問題となっています。メタボリックシンドロームについては平成17年4月に日本内科学会など、8学会合同の診断基準が
公表されました。まず内臓脂肪の蓄積が重要で、ウエスト周囲径で男性が85p、女性は90p以上が必要条件です。さらに @脂質異常(中性脂肪の増加かつまたは善玉コレステロールの低下) A高血圧(最大血圧130mmHg以上かつまたは最小血圧85mmHg以上) B糖代謝異常(空腹時血糖110mg/dl以上) のうち2つあてはまると診断されます。これらの因子を複数持っていると指数関数的に心血管病の発生率が上昇してしまうので、 その早期の予防、発見が最も大切です。 バランスのよい食事、適度な運動、少ないストレスなどの生活習慣を見直すことが重要ですが、早期に疾病を見つけて 適切に治療を開始することも必要です。メタボリックシンドロームに該当しそうな方は、一度医療機関を訪れることをお勧めします。 (執筆者紹介/労災病院循環器科) |