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禁煙しませんか? 美唄市医師会・熊本 秀樹 |
喫煙は肺がん、口腔・咽頭がん、喉頭がん、食道がんなど数多くの悪性腫瘍の主要原因であり、一方で狭心症や
心筋梗塞などの虚血性心疾患、脳血管疾患の危険因子です。1日に21本以上吸うと脳梗塞や心筋梗塞の危険性が
3倍高まるという報告があります。たばこに含まれるニコチンが動脈硬化を促進し、血圧や心拍を増加させ、また
血液の凝固能を高めてしまうのです。受動喫煙も問題で、1,2倍から1,5倍リスクが高まると言われており、
喫煙者であっても禁煙によって、これらの病気の危険率が低下し、年齢が若いほど有効であることが報告されています。
しかし、禁煙は非常に難しいのも事実です。ニコチンによって強力な身体的および精神的依存が形成されており、禁煙を
試みると著しい喫煙欲求、また体調不良や集中力低下などの離脱症状が起きてしまい、多くの喫煙者がそれらのつらさ故に
断念してしまいます。日本循環器学会などいくつかの学会では、喫煙を「たばこ病」としてとらえて、積極的に啓蒙活動
をしてきました。
ニコチンの離脱症状を緩和するためにニコチン・ガムや貼付剤(はり薬)があります。ガムは薬店で購入することができ、
最初に試す価値があります。貼付剤は医師の処方箋が必要で保険がきかないので1ヶ月に14,000円程かかりますが、
禁煙の成功率を高めています。当院では禁煙専門の外来はありませんが、貼付剤は処方可能ですので、気軽にご相談ください。
(執筆者紹介/労災病院循環器科) |