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胴回りを測って 動脈硬化を防ごう! 美唄市医師会・山口 修史 |
外見上ひどく肥満していなくても内臓脂肪が蓄積すると、各種検査値の異常が重なりやすく、また、それらが軽度であっても心筋梗塞
や脳梗塞など命に関わる動脈硬化性疾患を起こす率が急激に高くなります。このような状態をメタボリックシンドロームと呼びます。
この診断基準が今年4月、日本内科学会など国内8学会の合同で基準策定されました。
それによると、腹腔内脂肪蓄積、ウエスト周囲径85cm以上、女性90cm以上(内臓脂肪面積が男女ともに100以上に相当)あることに加え
、つぎのうち2項目以上当てはまる場合、メタボリックシンドロームと診断します。男女とも @リポ蛋白異常(高トリグリセライド血症150mg/dl以上、低HDLコレステロール血症) A血圧高値(収縮期血圧130mmHg以上、拡張期血圧85mmHg以上) B高血糖(空腹時血糖110mg/dl以上) なお、ウエスト周囲径とはベルトの位置ではなく臍周囲で測定したものです。今回の診断基準そのものが問いているのは、個々の検査値に こだわることではなく、動脈硬化のリスクが重なったときにどう対処すべきかということです。 血圧なら血圧だけ、血糖値なら血糖値だけを改善の対象にしがちの「木を見て森を見ず」といった療養姿勢にこの基準は一石を投じる効果 があるでしょう。治療の目標は内臓脂肪蓄積の改善です。蓄積する危険因子を個々に治療するのではなく、過剰栄養摂取の制限や身体活動 の増加など生活習慣の改善でそれらの上流にある内臓脂肪を減少させることが有効な治療です。 これによりリスクを一挙に軽減させるとともに内臓脂肪による直接的な動脈硬化症リスクも軽減することになります。 (執筆者紹介/市立病院内科医長) |