貧血

美唄市医師会・城下 紀幸

貧血という言葉はよく耳にします。「昨日貧血で倒れちゃった」とか「貧血で動けなくなった」などです。 でも、これは貧血の症状の一部を言っているだけで、貧血本来の病気を表しているわけではなく、その奥に 怖い病気が隠れているかもしれないのです。では貧血とは何かというと、さまざまな理由で血液中の赤血球 、血色素(ヘモグロビン)の量が少なくなることをいいます。その症状はというと、赤血球は酸素を全身に 運搬する大事な細胞であり、これが少なくなるので酸欠の症状がでます。特に影響を受けるのは頭であり 頭痛、頭重感、めまい、立ちくらみなどがおこり、心臓も少ない血液を早く送り出そうとするため、動悸、 息切れなどの症状がでます。外見的にも、皮膚粘膜の蒼白化、爪の変形、舌炎などがみられます。 そして大事なことは、なぜ貧血になっているかということです。一番多いのは、栄養バランスが悪く鉄分が 不足した、鉄欠乏性貧血です。しかし、それ以外にもビタミンB12欠乏によるもの、胃潰瘍など消化管から 出血によるもの、血液疾患である再生不良性貧血、溶血性貧血、白血病やリウマチなどの膠原病からくる貧血 、高齢者であれば胃癌、大腸癌などの悪性腫瘍も疑わなければなりません。女性の場合は意外と多いのが、 子宮筋腫など婦人科の病気からくるものです。ですから、先ほど述べた貧血の症状があるときは自分だけで 判断せず、一度内科を受診し適切な診断のもと治療をうけてください。
(筆者紹介/しろした病院副院長)