「仮面高血圧」にご用心!

美唄市医師会・井戸 明

診察室で測ると血圧が上がってしまう「白衣高血圧」の人がいることはよく知られています。最近、これとは逆に診察室での 血圧は正常でも、家庭で測ると高血圧になる人がいることが注目されています。 このことを、診察室では高血圧が仮面で隠されているという意味で「仮面高血圧」と言います。仮面高血圧は高潔亜tの治療を 受けている人にも見られます。診察室での血圧が高くないことから見逃されがちですが、実際は1日の中で血圧が高い状態が 長い時間続き、心臓や血管に大きな負担がかかり、放置しておくと脳卒中や心筋梗塞を起こしやすくなります。 このことが、仮面高血圧最近注目されるようになった理由です。 仮面高血圧の人は、良好に血圧がコントロールされている人に比べ、脳卒中や心筋梗塞の発生頻度が約3倍も高いという大規模な 臨床試験の結果も発表されています。早朝に血圧が高くなる「早朝高血圧」も仮面高血圧の一種です。早朝高血圧では、脳卒中 や心筋梗塞になる危険がさらに高まると言われてます。降圧薬を服用している人でも、薬の効果が十分に持続されず、24時間に わたってきちんと降圧できていない場合は、早朝高血圧になる可能性があります。朝起きて薬を飲む前と夜就寝前に自分で血圧を 測ってみることをお勧めします。もし、高いようなら、長時間作用型の降圧薬に変更したり、服薬時間を変えるといった対処法 が必要になることもあります。その場合には、早めに主治医に相談してください。
(筆者紹介/井戸内科医院副院長)