頸椎症性脊髄症

美唄市医師会・楫野知道

頸椎とは背骨の首にあたる部分のことです。頸椎の中には脳からつながる神経である脊髄が通っており、脊髄 から枝分かれした神経は背骨を出て全身に伸びています。このため、頸椎の病気により脊髄が障がいされると脊髄から 伸びた神経の支配する部分にも影響が起こります。このような疾患のうち頸椎の年齢的な変化などによって神経が 圧迫され脊髄の症状が出たものを頸椎症脊髄症と呼びます。 脊椎の脊髄障がいを疑うサインとしては、両手指のしびれや手指の動きがぎこちなくなるという症状があげられます。 具体的には箸がうまく使えない、ボタンかけがうまくできない、字が書きにくい、ひもが結びにくいことなどの 細かい動作が難しくなることなどがあります。病状が進行すれば下肢の痺やれ歩行障がい、排尿障がいなどもみられ るようになります。症状としては、脚のつっぱり感、つまづきやすくなる、階段の上り下りがつらいこと、排尿まで 時間がかかる、排尿してもまたすぐしたくなることなどがあります。脊髄とは脳と似た性質を持つ中枢神経であり このような脊髄症状が長く続くと手術をしたとしても回復がしにくく症状が残りやすくなります。 また、脊髄症状が軽くても頸椎で強い脊髄圧迫がある場合は、転んだりしたときに急に症状が悪くなることもあります。 患者さんの中には症状があってもずっと我慢して、かなり時間がたってから病院を受診された方も少なくありません。 前述の症状に気がついた場合は早めに整形外科(脊椎外科)を受診されることをお勧めします。
(筆者紹介/美唄労災病院勤労者腰痛・脊損センター整形外科部長)