朝起きて30分以内に最初の
一服を吸ってしまうあなたへ


美唄市医師会・柳川利正

「タバコはあなたを殺す!」こんな警告を見ながら吸い続けるのは気持ちの良いことではないでしょう。 しかし、欧米では「喫煙はがんを起こす」、「喫煙は心臓病を起こす」などの医学的常識のタバコへの表示が 義務づけられています。このため喫煙者数が減少し多国籍タバコ産業は危機に立ったのです。この危機を救った のは日本でした。10年あまりの間に日本でのアメリカタバコのシェアは2%から20%へと急上昇しました。 アメリカタバコも日本では「健康を損なうおそれがありますので吸いすぎに注意しましょう」というあいまいな 表現で許され、アメリカ本国では禁止されている喫煙のかっこよさを煽るコマーシャルのせいもあり、20代女性の 喫煙率は5年間で2倍以上に増加しています。未成年の常習喫煙者も増加し、高校3年男子で25.9%でした。 成人男性の喫煙率が50%を超えているのは先進国の中で日本だけです。タバコの煙には約40種類の発がん物質含まれ、 それは主流煙よりも周囲にたちにこめる副流煙に多量に含まれています。日本では肺がんが急増しており1998年から がんによる死亡のトップになっており、喉頭がん患者はほぼ100%喫煙者です。
タバコを止めることは簡単ではありません。ニコチンは大脳の快楽中枢に働きかけ多幸感、心地よさなどをもたらし 、ニコチンが切れてくるとイライラして落ち着かない、頭がボーっとして集中力がなくなるなどの状態になります。 ニコチン依存症からの離脱には家族への愛と強い意志が必要です。ニコチンパッチなどを用いた医学的療法も有効です ので、医師、看護師にご相談ください。
(筆者紹介/市立美唄病院内科医長)