しょっちゅう風邪を引く子ども

美唄市医師会・永田 康

「うちの子はしょっちゅう風邪を引くのですが」と外来で聞かれることがありますが「風邪を引くのも子どもにとって 大切なことなのです」とお応えすることにしています。 赤ちゃんは胎内で「へその緒」を通してお母さんの「免疫」をもらって生まれてきます。でも、その「免疫」は数ヶ月 から1年で消えてしまうので、その後の子どもは病気に対する「免疫」を自分の力で身につけていく必要があります。 どやって?ですか。じつは「風邪を引くこと」によってです!風邪の原因のほとんどはウイルスです。人間に病気を 起こすウイルスは何百種類もあります。ワクチンで予防できるものありますが、すべての「風邪」ウイルスに対して ワクチンを作ることは不可能です。もちろん、重大な病気に対してワクチンを受けることは大事ですが、それ以外は 自分で「免疫」を作って行かなくてはなりません。1歳を過ぎた頃からしょっちゅう風邪を繰り返すのはその「経験」 を積んでいる最中だからです。特に保育所などに集団生活に入ると風邪に出会う頻度が多くなります。また、上に保育所 幼稚園に通っている兄や姉がいると「お土産」をもらって風邪の機会が増えるのは仕方のないことです。 「風邪を1つ引くと、1つ丈夫になる」のです。もちろんこじらせると「風邪は万病の元」になってしまいます。 「風邪を引かせない」ではなく「上手に風邪を引く」ことが大事なことだと思います。
(筆者紹介/市立美唄病院小児科医長)