高脂血症と肥満@

美唄市医師会・伊深清次

日本人の寿命は今や世界一になりました。戦後約50年の間に寿命は30歳くらい延びたことになりますが、欧米先進国並に 肥満や心血管系疾患(特に心筋梗塞)が増えて、これから先はどうも寿命が短くなっていきそうな感じがします。 最近職場検診の事後相談を受けた際、全健康者の7〜8割の方が高脂血症で、さらに高血圧症、肥満症、糖尿病を合併して いる方もおられ(これらは「死の4重奏」ともいわれる)心筋梗塞や脳血栓予備軍の多いことに驚かされました。 車社会で歩くことや肉体労働が少なくなったことと、世界中から食物を輸入して食事摂取量が多くなったためと思われます。 コレステロールは人間にとって大事なホルモンの原料になる必要不可欠なもので、必要な分は自分の体の中で合成されています。 ごく一部の方を除き、コレステロールの多い食物の摂り過ぎで高コレステロール血症なります。中性脂肪(トリグリセライド) は脂肪の多い食品を摂るだけでなく、エネルギーとして使われなかった余分な含水炭素などが中性脂肪に形を変えて体内に貯蔵 されるのです。脂肪に限らず必要以上の食物(カロリー源)を摂り過ぎれば、肥満症、糖尿病だけでなく脂肪肝から肝硬変症 になることもあります。参考までに、コレステロールは卵黄、魚卵、いかなどのほか、カステラ、マヨネーズなどの加工食品 などにも多く含まれています。
(筆者紹介/花田病院医師)