病気で食事がとれなくなったら?

美唄市医師会・飯塚幹也

前回は胃瘻からの生理的な栄養摂取の有効性をお話ししました。外科領域でも積極的な経腸栄養の導入が見直されており 、一般的に胃瘻からの経管栄養は管理の簡便さで家族や患者さんのQOL(生活の質)の改善が計れる方法です。 経鼻胃管や点滴(静脈栄養)のように患者さんが容易に自分で管を抜くことができないため、抜去防止の抑制処置をやめる ことができ、患者さんの苦痛軽減により不穏状態(痴呆に近い)が改善し、さらに経口摂取が可能になる例もみられます。 胃瘻があっても運動、入浴などに制限はなくなればはずすことも可能で、抜いた穴は一日程度で閉じてしまいます。 この胃瘻はどのようにしてつくるのでしょうか?カメラで胃と腹壁がもっとも近い場所を確認し、皮膚に局所麻酔をかけ 胃側と皮膚側から挟み込むようにして10〜15分でつくります。胃瘻をつくるときの合併症で頻度が高い物は仰臥位での胃 カメラ挿入で生じる誤嚥性肺炎と刺入部の創感染症です。これらに対しては適切な処置が必要で、栄養を入れるための胃瘻 チューブは定期的な交換が必要です。また、最近は胃瘻をつくる禁忌は減っています。胃瘻がつくれない場合は食道瘻・小腸瘻 をつくる方法が開発されており、栄養の補充以外に癌などによる消化管閉塞に対し患者さんの苦痛軽減や腸管の減圧目的と して胃瘻をつくる場合もあります。それぞれの患者さんにあったいろいろな方法がありますので、お近くの医療機関に気軽に ご相談ください。

(筆者紹介/美唄労災病院外科副部長)