病気で食事がとれなくなったら?

美唄市医師会・飯塚幹也

人は加齢、神経疾患、脳の病気、心疾患、呼吸器疾患で嚥下が難しくなりむせたり、誤嚥し肺炎を繰り返すなどで 食べられなくなることがあります。長期間口から物を摂ることができないと脱水が生じ、腸内細菌のバランスが崩れ 免疫力低下や病気を治す力が落ちて行きます。多くの方は病院に来て点滴を行いますが、手足からの点滴は水分を補 うのが主体で太い血管に濃度の高い点滴をする方法では、血管内のため細菌が血液内に入る問題があります。 そこで通常の食事に近い方法として管を使って腸に栄養剤投与を行う方法があります。日本では鼻管を胃まで入れる 方法が主です。しかし、つぎのような問題点があります。
@鼻から挿入するために違和感があり管を抜いてしまう。
A鼻やのど・食道に潰瘍ができることがある。
Bのどの感覚が落ち誤嚥を誘発し肺炎を起こすことがある。
一方、米国ではおなかに小さなトンネルをあける胃瘻が主です。通常胃カメラを使い、10分前後つくることが可能で、 米国では20年以上前から行われてきました。長所として患者さん、家族のQOL(生活・生活の質)の向上がはかれます。
@鼻管と違い患者さんの違和感が減る。
A家族の方でも栄養剤の注入が可能。在宅管理が容易となる。
Bさらに入浴も可能になり運動制限もない。
Cリハビリで食べられるようになり必要がなくなれば抜くことも可能。
それぞれの治療方法は患者さんの状態によって決めます。次回は胃瘻の具体的なお話をさせていただきます。

(筆者紹介/美唄労災病院外科副部長)